no.174

ひかりが好きだ。そして(だけど)、すみっこも好きだ。きみの好きがたまたま世間に害をなし、ぼくの好きがたまたま誰かに受け入れられた。素直になることは何かを傷つける。正直であることは何かを誑かす。どんな優しさも地獄までついてきてはくれない。言い訳をする頃にきみはいつもひとり。ぼくはいつも、ひとり。ひとがひとりひとりであることだけがこの沈黙をやわらかなものへ変えていく。産まれるずっと前にそうだったように、そしてそれは少しも怖いところのない密室。言葉でとけない刺繍はない。氷はない。謎はない。呪いはない。魔法はない。編み上げの心臓。いつか手のひらに包んで喉仏を鳴らした。綺麗なものひとつも落っことさない強欲な銀河が好きだ。誰のこともまともに見守らない、神様、あんたのぶっきらぼうな沈黙だってそうさ。

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