No.799

嫌いになりたくなかったのに変わってしまう。変わってしまった。変えてしまう。変えられてしまった。きらいになんかなりたくなかった。このままでいいと思える瞬間だけがバグのように続いて、病的だと指摘されても浸っていたかった。ぼくたちの冬に射す茜色は、おたがいが知ってる幼馴染みの頬。みんなが飛び越えていった川面に映る近くて遠い恒星の姿。隠れたい。隠されたい。見つけたい。見つけられたい。貝殻で傷ついた足と、足を傷つけた貝殻と。再びがもらえなくて永遠を選んだ。ふたたびがもらえなくて、えいえんをえらんだ。泣かせてしまう人の多いほうを。自分たちが選びたかったほうを。