No.798

ぼくはぼくでしか生きられない。あなたはそれで大丈夫だと言う。ダンボールに描いた星空が本物に変わるころ、時代もひとつ変わっていた。時間が過ぎなければ分からない秘密は誰の悪戯なんだろう。耳を傾けていれば伝わってきたのだろうか。あなたはそれを待っていただろうか。ぼくは本当はそうしたかっただろうか。気づかないままだから生きてこられたのかも知れない。みずうみの表面に無数の祈りが瞬いて、あなたはそれを祈りとは呼ばない。ただの星だと言い、きみは地上へ目を向けろと優しく諭す。嘘を閉じ込めたアクリルのルームキーで、潔癖の部屋へ帰る。百年なんてすぐだよと自分に何度でも言い聞かせて。