No.783

橋の上から葉っぱを落とす
顔や世界を消したくて
見えないことで消した気になる
まるで子どもの遊びだね

鳥かごを持って歩くぼくを
森の生き物が笑っている
帰るはずはないよ
帰るはずはないのに

見慣れた青をここで見たんだ
割れた卵の殻だった
捕食者の仕業もしくは
きみが生き永らえた証としたい

落っこちそうな満月を
誰がそこで支えているの
きみにも消したい世界があるのか
ぼくが森を彷徨っていてもか

旅を終えて家路につく
おかえりと見知らぬ誰かが言い
月を溶かしたスープで眠る
名前を持たないぼくらふたりは