どうか腐らせないでください
誰の名前も呼べないで神様に祈った
これはぼくの大切なひと
神様どうか腐らせないで
祈りが通じたのかあなたは腐らない
雪の夜も花の朝も変わらず
眠っているかに見えた
ぼくは真実を忘れたがった
覚えておいで
覚えておいで
同情もまた加害であることを
手当という攻撃のあることを
ぼくはあなたを運び出すことにする
なかなか動かせなくて困っていると
あなたがこともなく起き上がり笑ったので
なんだ歩けるのかとぼくも笑った
青い鳥のうまれる島を歩いた
言葉を捨てて平和を取り戻した種族の村
隔離された部屋でつぶやく人
野菜と水だけで育った獣の国
どこへ行ってもいい
わたしたちどこへ行っても良いんだ
あなたは優しかった
まるでぼくを説得するように
心配しないで
心配しないで
あなたをちゃんと送り出すから
それからぼくも旅に出るよ
どこかで出会おうね(そうしよう)
あのひ出会ったように(なつかしいな)
どこかで話そうね(そうしよう)
離れていたあいだの出来事を(たくさん)