プライドがある。ぼくには誰にも奪えないものがある。それについて誰かに褒めてもらいたいだとか認めてもらいたいだなんて考えはなかった。結局はぼくのもとにありつづけるものだし他者のどんな行為によっても辱めを受けない性質であることをずっと知っているから。寒い冬に氷を食べるきみがすきだよ。きみが、すきだ。あたらしい日になってもきみの背中に羽の生えないおかげでぼくは生きていける。きみの不自由で呪いたい世界で祝福を受けて。ときにひどく妬まれて。満開の花は雨より長く雪より儚い。埋もれないおかげでいつまでも柔らかな感触に叩かれつづけることができる。手首に巣食う縫合跡が叫びたがってまた真っ赤な傷口を開くけど、何も誰もまともでないという、その印象ばかりが光となって、永遠に、病んだ心の中でさえ淡く素直に照らし続けるんだよ。照らし続けるんだ。