No.775

朝焼けが遠くて、終わりってこんなもんなのかなと思った。制服の時期を指折り数えて、無駄だと感じ途中でやめる。ぼくたちは背中に色を背負っている。自分では分からないから、誰かと話すほかない。話して、笑って、泣いて、今こうだよと教えてもらう、ほか。教えてあげる、ほか。水たまりに映った空に、薄い皮膚みたいな桃色が浮かんでいる。きみが、恋をしている。ぼくに、恋をしている。手をのばしてくれたんだ、終わりの見えなかった夢のなかへ。水たまりが消える前に、ぼくに向けられた一瞬の衝動を捕まえに行く。向かい風も追い風も妨げられない、これはぼくが選んだ行く手だ。触れ合わない距離で、ふたり並んで、手始めにキャラメルカプチーノを。それからぼくたちが過ごした長い、今やっと終わりに近づいている長い夜にまつわる話を。しずかに。