no.163

きれいなものにふれていたいな。そう思うことはわがままなの。おもいどおりになれたらいいな。そう願うことは地に足がついていないの。たくさん夢を見たんだ。ピンクや青やオーロラ、お菓子のトリコロール、お金がなくては見ることも叶わなかった風景。その光景の一部になるためなら睡眠を削るくらいなんてことない。誰もが幸せな世界はとても昏くて怖いことだと考えたんだ。ずっと知ってたみたいに湧き上がってくる。あさを何回むかえてもリセットされなくて諦めたんだった。これは来るべくしてきた、遠い誰かの思いなのだと。理由のつかないことって大抵が、そう。誰かがどうしようもなくなって空に放り投げた。落下地点のいちばん近くにいる誰かにあたって、そのひとのものになる。初恋だってそうだと思うんだ。説明されることを嫌うものってのは。優しいことを邪魔だって言いたくないし好きだからって理由だけでたくさんのものを捨てたいし負かしたいし傷つけたい。順番や思いやりなんて言葉も知らなかった頃にかえってスカートの裾をひらひらさせたい。自分だけが味方だった、他の誰もが花に見えて仕方のなかった、あの頃だって悪くなかった。

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