no.162

幸せになったら終わりそうで怖いんだ。だからいつまでもそうじゃないふりをして君を怖がらせないといけない。いろんな形があるんだとしても必ずしもすべてに頷いてもらえるだなんて思っていない。線路の上はあたたかいな、いつも人と電気の匂いがする。誰かが何かを届けたかった頃の。剥がれ落ちた瓦礫の匂いも。崩れるものは再生を予感させるからではなくて今その瞬間に何もないから安心させる。遠い空に祈っても目の前の瓶は割ることができない。そういうあたりまえがあるってことを。もっとあたりまえに飲み込めるようでなければ生きてはいけない。胸が痛いなら目を閉じろ。願ったことだけが起こるんだと言い聞かせて。そうすれば星がいくつも流出する。夜の闇のほころびが隠そうとしたのは僕、それとも。

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