No.764

夕陽がすごく綺麗だよ
隣の部屋からメッセージがとどいて
音を立てないようベランダへ出る
遮光カーテンに守られた世界の外で
もうひと回り大きな世界が輝いていた

かがやく闇は家電量販店の看板を飲み込む
不用品が集められるあの場所を
親切なオーナーのいるコンビニを
一度も入ったことのない五番街を
嫌悪にすり替わる他なかった好意を

同じものを見ているだろうに
だって教えてくれたのはきみなのに
本当だねと写真付きで返信する
きみからも同じく写真が届く
僕の方がセンスいいな、
そう主張したくて部屋のドアを開けた。

『なかなおりの詩』