No.736

喪失後の青白い森
森を流れる赤い血から霧が立つ
湿った土に植物が種子を落とした
大事に抱えていた卵が割れた

置き去りにされたのは目を引く黒い棺だ
黄色い花に半分埋もれながら
手がかりのネームプレートは削られている
日の目を見なかったおとぎ話の墓場で

夢や希望や愛や誠や
嘘をひとつも吐かずに暗号を解くんだ
騙したらただじゃおかない
騙したら無傷でここを出さない

安らぎはこじれてしまった
太陽から逃げた瞳で
生きているのが不思議なくらい
小さな棘にも傷つくんだね

約束をしようか
裏切らないことの証明に
そうだ約束をしようか
明日には別の命であることの証明に

今夜ぼくは眠る
浮上できない荊のベッドで
今夜ぼくは眠る
ぼくを傷つけるかもしれないものと一緒に眠る