No.731

到底理解できなければ演技は続いたのに
目を瞑ってたってわかることがある
きみに似ている人は少なくない
留まるものがあっても時間の問題

意地悪で片づけて良いんだろうか?
誰にも伝えたくない
誰にも気づいて欲しくない
きみが弱くて血の流れていること

まわりが勝手に脱落したんだ
天国はそっちじゃないよ
詐欺師のいい加減なインフォメーション
純粋が粉砂糖をまぶされて落ちていく

(もったいないよ、
死ぬことが綺麗なうちに生きるなんて)。

好きでも嫌いでもない
正しいという判断で分離してしまった
きみは邪推の餌食になった
六月のプールに沈められて

繰り返さなければいけない?
いいや、そんなことはない!
いつでも「これで最後」にできるし
そのためのトリガーだって与えたよ

なるべく素っ気なく優しくそれでいて
魅力的なことをぼくは教えてあげるのに
おまえの言いなりにはならない
そう言ってきみはまた始めちゃうんだから

ハサミを持つ手も疲れてきた
緞帳を開け閉めすることにも
だから下界に向けて背面跳びをかます
ここではその行為を自殺と呼ぶ

ぼくは落ちる
落ちたことのない六月のプールに
とうとうやってしまった、どうしようもない後悔が
驚愕に見開かれた目で吹き飛んだ

あの、はじめまして
は、はじめまして?
こっちへ来てみた
あ、ようこそ?
ぼくは空から落ちてきました
はあ
もし迷惑でなければきみを助けたいです

戸惑う二人をつなげたまま、意思のない水面はキラキラ光った。