No.727

ベランダに咲いた花と玉ねぎを炒める匂い
ふて寝していたと起きてから気づく
何をあんなに罵っていたんだろう
簡単に嫌いになれるほど運命は甘くない

あずかり知らぬところで発生した愛が
関与できるところで消されるわけはない
その証拠にきみは玉ねぎを炒め
ぼくは後味の悪さばかり覚えてる

ヒーローは世界をすくうんだって?
だけどぼくのことはどうだろう?
好きになってくれたあの子のことは?
ヒーローじゃないぼくがなんとかすんだ、そうだろう?

与えられた縛りと逸脱への感度
間違わないために痛みがあるんじゃない
ぼくのする想像ときみのする回答を答え合わせ
起こされたくて寝たふりをするこども