No.721

布と壁のあいだから
差し込む光が青くて
逃げるようにまた布をかぶる
世界がこんなに青いわけはない

鳥の声がして「続きだ」と呟く
自分のものじゃない声だ
騒がしい夜は短くて
怠惰なほど緩やかに朝が来る

肌は青色にめっぽう弱く
さらに念入りに深くくるまった
布越しの振動、おはようと降る声
ぼくをダメにする声

半分の、そのまた半分でいいのに
また始まってしまうのか
愛と幸福の暴力
切り落とした昨日はふたりを見捨てる