no.125

私たちの壊さなかった幻が
夢が
美しいばかりのものが
誰かをこんなふうに追い詰めていた

四角形ばかり見当たる部屋で
過去を手繰り寄せることのできる
何色かもわからない糸をさがした
小指に結びつけたくて

優しい日々はどんどん遠ざかる
きみは愛される
きみはかわいがられる
置き去りにされている自覚もないまま

分かりあおうとするから傷がつく
離れようとするから体が冷たい
分かりあえないまま
ふたりはふたりのまま
それ以上の朝は無く、それ以上の夜も無い