no.124

いつまでも捨てられないほうがわるいんだって、そんなこと言いたくない。ほんとうは、ほんとうに、言いたくない。きみが見抜けなかった僕は明日とそれに続く次のすべてを欺いた。ときたま壊していないとおかしくなりそうになる。土の中に眠らせても、凍らせても、いつのまにか芽吹いてしまう種みたいにさ。離れ離れにしても、仲違いさせても、やがて巡り合ってしまう生き物みたいにさ。どちらがどちらを置き去りにするか、未明のせつない話し合い。暗号がじょじょに隔てて、さいごには眼差しだけが残る。それも消え去って思いだけが信じられる拠り所になる。虹色の夕立ち。みんなが、捨てるように忘れていった幼年時代が溶け込んでいるせいだよ。

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