no.119

もっと綺麗なものになりたかった
だけどからだは暗い隅っこを好んだ
そこにいるかもしれない光を見ていた
まだ見えないものを間近で見ようとして
永遠に落ちない星を落とそうとして

指先から生まれるものはいつも不安だった
誰が何と言おうと少なくとも僕には、
絶対に、欠かすことはできなかった
恐ろしい形相と形容してしまうと
ほんとうに手に負えない化物になるかと思われた

だからまるで自分が産んだようにあたためた
あたためながらこうも思った
空っぽなら、空っぽなら、
これがもしも空っぽならいいのにな
誰の夢も裏切らないけれど
いつか必ず終わることだけ決まってる運命

ありふれた言葉に思いを託すことは億劫だったね
いつの時代の誰もがそうだった
正解が見つけられないのだから好きな人を褒めた
そしてそれでよかった

少しずつ溶け合って混ざって
もう二度と分離できないところで
きみが僕に思う気持ちと僕が僕にやることのできない優しさと
僕がきみに与えたい深手と
きみがきみに流し込み続けた砂糖みたいな善良を

もう少し、あと少し
つじつまの合わない世界に持って行って
誰にも管理されずどうなるか見ていたい
腐ってもいい芽吹いてもいい
そんな出来事もあるってどこかで
幸せが何かも分からない子供の口から言わせたい。