No.701

眠れなかった朝
静かに糸をたぐり寄せた
どこかの知らない誰かが
光ではしゃぐ動画を見る

隣ですこやかに眠る
あなたが冷たかったらいいのに
そうしたらぼくは解放されるのに
今日も傷つけるかもしれないな

風が見えるような朝
たくさんあった反対の声を思い出す
自分がどう言い返したのかを
自傷は罰にカウントされないのに

生きていくこと
生活をやめないということ
信頼していないとできないことだ
信頼とは盲信と期待、ほんのすこしの

ぼくは道で刺されるかも知れない
鉄骨に押しつぶされるかも
自動車が乗り上げたりとか
喫茶店でのむコーヒーに猛毒が

あなたはぼくの話を笑わずに聞く
すばらしい忍耐だと思う
同時にかわいそうだと思う
このひとを縛ってはいけないと思う

好きでここにいるんだよ
そんな言葉を待っている
隣で眠るあなたが冷たければいいのに
祈るぼくはずっと素直じゃない

あってはいけないことだ
奇跡はいつまでも持っていてはいけない
自分から手を離さなくては
あちらから離される前に

素直になれない自覚があって
本音が行き場をなくしてる
そうかな筒抜けだよとあなたが笑う
こんなときだけ光が恋しい