no.114

今日もどこかで誰かが死ぬ
優しい夏の朝の始まり
鳴き始めた蝉が産まれた日
僕はどこで誰を見ていただろう

手段がないということ
それでもお腹が空くこと
たぶん何者にもなれない
空はあの日と変わらない

窓硝子越しに見えた過去
簡単な言葉でつづった
封の剥がされた白い手紙
きみだけが泣いている記念写真

新しくなることを拒めない
成長痛を受け止めたみたいに
平気というには退屈すぎる
姿の見えない声に囲まれてうずくまる