No.661

この濃淡はどこからくるの
訊ねられても正解を知らない
答えなら幾つだってつくるけど
僕はあなたには嘘をつきたくない

水平線からくるぶしへ
無情に青がこぼれるのを見ていた
今までの命が全部よみがえって
僕は恋をした目で殺しもした

無垢なかたまりに憧れて血を流しもした
横断歩道を渡っていても聞こえる波の音
砂を踏みしめて歩くか細い足と
夜のふちをどこまでも進んだこととか

歪曲した割に物語はいつも半端で
もの足りなさに耐えかねて次をねだった
新しいほうを選べる自分でいたがった
大切にしていたものを放り投げてでも

病みつきになった終わりが
僕のなした悪事や罪をリセットする
かつて劇場だった場所、花が咲いてうれしい
期待する自分に呆れながら息を吹き返す

風音にまぎれる逆再生
残像と溶ける見慣れぬ白い手
何のための始まりかわからないまま
終わるためだけにまた産まれていたんだ