no.104

モノクロの弔報が
凝固した血の跡が
存在を思い出させた

個性のないまま生まれたこと
祝福は後付けであること
確信は書面のみによること

信じないものを信じるふりをした
誰からも責められないよう
せめて溶け込もうとした
とても困難だと知りながら

行動はいつも恐怖に基づいた
些細なことも大げさなことも

顔を上げて青空を見ても
その日の天気欄は曇りだった

ぼくの見えているものを
見ることができるひとと
出会えることはそうそうない
これまでもあまりなかった

まやかしは柔らかく耳朶にふれる
初めて色づいた唇みたいに

みんなあなたを知っているよ、と言う
優しいあなたを知っているよ、と

だが忘れてはいけない
誰かを優しいと感じることもあることを
きみに示したかったんだと
つまり聞き手のきみが優しいと
彼らが本当に言っていたのはそれなんだと

何を見ても違うように感じている
わけじゃない

ぼくはおんなじ
何も変わるところのない
同じくただのごちゃまぜの生き物

きっと答えは出ているけれど
それはあまりに明確でさも正しくて
なんだって笑い飛ばせる
きみに言えていないだけ

ありもしない謎でこれからも
ぼくを知らないきみだけを
ひきつけておきたいだけ

深呼吸もできず
瞬きもできない切実さで
言葉を忘れた舌と
無いものねだりの不完全に清い体で

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