モノクロの弔報が
凝固した血の跡が
存在を思い出させた
個性のないまま生まれたこと
祝福は後付けであること
確信は書面のみによること
信じないものを信じるふりをした
誰からも責められないよう
せめて溶け込もうとした
とても困難だと知りながら
行動はいつも恐怖に基づいた
些細なことも大げさなことも
顔を上げて青空を見ても
その日の天気欄は曇りだった
ぼくの見えているものを
見ることができるひとと
出会えることはそうそうない
これまでもあまりなかった
まやかしは柔らかく耳朶にふれる
初めて色づいた唇みたいに
みんなあなたを知っているよ、と言う
優しいあなたを知っているよ、と
だが忘れてはいけない
誰かを優しいと感じることもあることを
きみに示したかったんだと
つまり聞き手のきみが優しいと
彼らが本当に言っていたのはそれなんだと
何を見ても違うように感じている
わけじゃない
ぼくはおんなじ
何も変わるところのない
同じくただのごちゃまぜの生き物
きっと答えは出ているけれど
それはあまりに明確でさも正しくて
なんだって笑い飛ばせる
きみに言えていないだけ
ありもしない謎でこれからも
ぼくを知らないきみだけを
ひきつけておきたいだけ
深呼吸もできず
瞬きもできない切実さで
言葉を忘れた舌と
無いものねだりの不完全に清い体で