No.650

桜を見上げるひとに焦点を合わせる
すこしだけちらつく残像
ここは命あるものばかりでできている
発動していない死がこんなにもたくさん

はかないね。きみの言葉に頷く
はかないって、よくできたかんじだね。
きみの言葉にまた頷く
頷いたあとで、ああ漢字、と気づく

野原に命がこぼれている
川に命が流れている
菜の花の上を命がはばたいている
ぼくの頬を命がすり抜けていった

ずっと一緒にいられたら良いのにね
きみはたまに永遠に執着する
永遠のこと、ぼくはよく分からない
良いか悪いかも感じない
でも奇跡なら毎日見ている

ごはん、食べよう。
きみの言葉に頷く。

おにぎりとサンドイッチ。
梅おかかとシャケ。
卵ハムサンドとシーチキン。
緑茶とカフェオレ。

これはおどろいた。
どちらもつくってきたのか。
そうよ、あなたわがままだったから。
お互い不機嫌にはなりたくないでしょ。

きみの言葉に頷く。
頷いてばかり。
ぼくはもう話せないからだ。
永遠は知らない、奇跡なら毎日見ている。

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