レースを隔てた雨の音
ぼくたちが信じなかったら
窓にあたるのは星屑かも知れない
固まることのない血の雫かも、あるいは
言葉を持つものの中に
嘘をつかないものはいないから
確かめたければ
のこされた方法は一つ
一度きりの
ただ一度きりの
静かな尋問だけ
あなたは告げる、おまえは間違っている
いつしか砂浜に流れ出す赤
波がさらって海に溶けたら
水平線のあたりで夕陽になって
今はもう会えない、百年後にしかまた会えない
ぼくはあなたを知らないでいる
あなたはぼくを忘れないでいる
そんな夢や妄想が途切れないよう
他の何にも惑わされないで
これは呪いの始まり
これは物語の始まり
誰も知らない、誰も救わない
忘れられてもいい、優しくあれば良かった
絶望しなくていい、誰も救えないくらいで
だって分かりきっていたことだろう
手の中にあったすべてを手放した雨の夜に
ぼくが生まれ変わったあなたを知った夜に