no.94

認めたくないけれどきみは最高だ。どんなときもずっとそうだった。認めたくないけれど。どんな思い出があるんだとしても、少なくとも気取られない。そうすることに失敗するやつだっているんだ。ぼくが一度もそうできなかったみたいに。熱を、完全にうつすことはできない。何かから何かへうつすとき、そこには必ず別のものが入り込む。そもそも余地はあるんだ。異物は禁断症状を招いたり、結晶化して取り出せたりもする。リスクを取り除くことはできない。ふと我に返って手のひらに結露が浮かんでいるのを認める。言わないで。言わないで。きみにとってもどうしようもないものが、ずっと側にある。最高だけど最強ではない。不可能の種類によって人は人を選別し、悼み、愛している。