No.597

決定的な証拠を夜に隠した
更けていく夜に託したくて眠らないでいた
頬にまつ毛が影を落とした満月の影を
あなたが犯人でも傷つかない唯一の方法だ

みんなが怖いと言うものを怖いと思えなかった
わがままらしく守りたいものに仕分けた
どこもかしこも家路に急ぐあたたかな笑顔
この中の誰に何を責められるだろう?

無償の愛は何も愛さないひとを非難する
無言で視界から切り取ってしまう
だったらお金くらいもらったら良いのに
無傷を望むことを許せないくらいなら

優しさは誰にも優しくないひとを敵視する
なぜと問いかけて純粋を疑う
わたしは善意です
わたしたちは善意ですという虐殺っぷり

耳を塞げば逃亡だ
口答えすれば反逆だ
だから何も伝えたくない
だから秘密にしていたい

まっすぐに見据えていますように
それはぼくの独りよがり
あなたが今もまっすぐに
自分だけを信じていてぼくをバカにしますように