いつか好きだった
きみをぼくが好きだった
青と赤だけを使って
いくつも図形を切り抜いた
ぼくたちの隠れ家だよ
ほかに許されたのは
ぬるい風と野良猫
ミルクの匂いに月の光
眠りに落ちる前は甘い
これで最後かも
次はないかも
って、想像すんだ
そしたらほらね痛くない
悲しくもなくて
闇がきれいだなって
光がなくて優しいなって
どんどん忘れていくんだろう
波が浜辺を寝かしつける
夢のようだね
長くないよね
いつか好きだった
きみをぼくだけが好きだった
もう一度恋に落ちたら
運命くらい信じてあげる
つないだ手に血が走る
ナイフだって持つのに
文字だって書くのに
いつも誰にも伝わらないのに