no.87

ぼくのやさしさは
うわべだけのものだ
意地悪より簡単に
それで切り離せるからだ

居心地のよさは
興味のなさを示してる
きみは知ってる
ぼくをずっと見ていた

待っていた
きみは
なにも言わず
一睡もせず

時間をかけて
ひとり去って
時間をかけて
そしてぼくがひとりになるのを

疑わなかった
確信を持っていた
そしてそのとおりになった
ぼくもどこかで理解していた

ここへ向かっていた
ひとりひとりのようで
ふたりで歩いてきたんだね
真心をたくさん蹴落としながら

死角を保って
清貧を徹して
疑心暗鬼をはねのけて
新旧の明滅のなか

いともたやすく
やむことのない乱反射を越えて
とげとげしい祝福に微笑み
あまったるい羨望に唾して

最初でさいごのただいま
凍えた舌が本心に怯える
二度と許されないと思った
たどり着いた最果てはこんなにも眩しい