No.565

店のショーウィンドウは意地悪な隔たり
一歩間違えば消費されていた側だったの
あなたぼくにそう教えたくてマネキン
に、なったの?不本意でも構わないの?

違和感があるくらいでやめられるほど
子どもじゃないんだ、戻りたくはない
戻りたい場所のある人はとても不幸だ
泣ける、良いでしょって何回も問うの

先に気づいたほうが敗者なんだ
そんなこと分かってる、苦しいはずだ
本当に幸せなら言わないはずの言葉を
本当に愛を知っているなら吐かない唾を

ただ発散したいだけに思えるんだ
あなた繕うことが苦手だけど好きのふりしてる
痛々しいんだ、
どれだけ見透かされているか知らないの

貶めることは簡単かも知れない
だけど窮鼠は猫を噛むかも知れない
ぼくは匿名であなたを愛したい
ぼくは素性不明のままあなたに寄り添いたい

開けるたびに空虚が入っている
無名から放られたいくつもの空虚が
ぼくのかわりに日本に光を投げかける
国旗は燃やすものでなく混ぜ合うもの

泣いても良いよ、慰め方も知らないのなら
逃げなくて良いよ、愛されたことがないから
悪意が何かを知らない幸福にいつまでも
気づかないことを贅沢って呼ぶんだよ。