No.564

もったいないという感情が薄れた時
ぼくは世界を信じたのかも知れなかった
あるいは、自分のことを
あなたが好きだと言った人のことを

始まったものはいつか終わる
なんて嘘だよ
誰が忘れても
誰も忘れなくても
始まったものは終わらない
終わらないから終わりという言葉ができた

夜は何も連れ去らないし
朝は何も運ばない
季節は同じだし命くらい繰り返す
そのことに気づいた
いや、とっくに気づいていたことを思い出したんだ

だから、

忘れることを恐れないでおこうと思った
好きじゃなくなることを否定しないでいよう
夢に溺れる日々ばかりが美しいんじゃなく
傷つけられたことが愛じゃないわけじゃない

それだけで生きていける一日もある。

この柵を超えるのは少しだけ勇気がいる
ただしそれは少しだけだ
あることとないことの間に差はない
本当は、大きな差なんて、どこにも

冬の砂浜で見つけたビニール袋が
ぼくの日常に光をこぼしてる
あなたもきっと私のようになれるよ
ああ、これを絶望感と言うんだな
幸福そうに言ってくるきみを指して思う

豚を食べた
牛とひよこを食べて花を摘んだ
死骸の上に置いた石に供えて
行ってきますと告げる
紺色に染まる頃にきっと戻るねと告げる
ありきたりな星をきみが見上げるその前に

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