本当と偽物がわからないの
白すぎたんだよ
どこが底辺か知らされず
物語ばかり埋め込まれたせい
自由だと思うんだ
きっと自由だと錯覚するんだ
信じているなら間違いがない
疑うよりもずっと真に自由だ
死にたい夜を越えて
まだ誰もいない街を歩く
夢の続きかと思いながら
滅亡後かと思いながら
遠くのほうからやってくる
それはぼくを覚えている
だけどぼくは忘れてしまってて
きみの名前でそれを呼んでみる
血が通うように光がさす
壊したい人や壊れない人の
窓辺に新品を携えて
夜のためにまた起きなさいと言う
ふと何もかも見えなくなったふり
みんなしていること
みんながしてほしいこと
ぼくときみがしてこなかったこと
いつかのあやとり
輪っかのままで毛糸が落ちている
何の形をつくっていたんだっけ
見覚えのない落し物かも知れない
懐かしい気持ちで呼ばれたい
もう一度はじめからなんて面倒だ
不自然に歪んでもいい
白い紙の上では歪みは無いも同然だ