No.560

ぼくは歩き出そうと思う
雨雲が遠くに見える
風が湿っている
花瓶の蕾が顔を上げる

窓の外に揺れる架空線
用のない眼球がふたつ
ひな鳥が虫を食む
かつてそうだった場所で

緑がさんざめく
虚空に文字が踊る
捕まえようと手を伸ばしたら
ひっかいてしまって飛行機が落ちた

橙を秘めて眠る家々には
まだ少し魔法がかかっている
ぼくはここを出て行こう
あなたにひかりが降るように

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