No.559

水槽ごしは安らぐね
錯覚かもしれない
その可能性を残すから
あなたはきっと傷つかない
その可能性を残すから

もともと出会わない予定だった
そう仮定しよう
そもそもが道草だった
そう仮定しよう
仮定仮定と仮定にばかり頼りきり

まんまるな月が
ちょうちんのように闇をつくっている
折り紙のような黒一色を
振袖から飛び立った蝶々が飛んでいく

崩壊を待っている
誰や僕が泣いてもいい
たとえ失敗したっていい
その失敗に失敗を重ねたっていい
思うだけなら危うくてもいい

あなたがどちらを切ったとしてもいい
その手に持った銀色のハサミで
目元を隠す黒い髪や
鱗粉を残す蝶の軌跡や
背を向けあっても途切れない撚り糸
この夜を偽物たらしめる折り紙の一枚

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