投げつけられた言葉を拾い上げ
いちいち傷つく暇はない
僕の代わりに誰かが泣くだろう
午後には干上がる水たまりの中で
好きだった
手に入らなかった
だから大好きだった
気持ちだけ宝石箱にしまい込む
たまに夢で会えたらいいな
現実ですれ違うことと変わらないから
視線は交わらないし接触もしない
あとは可能性の問題だけだ
キャラメルの包み紙を集めて
ひとつずつに文字を書く
毎朝ひとつつまみ上げて
そこから始まるイニシャルに会いに行く
普通が世界を壊して行く
構成する細胞を貶めながら
消滅したいか残存したいか
どっちでもいいよって嘘つきながら
真夜中は小鳥をさがす
心臓くらいの大きさの
それを握りしめてとくとく眠る
翌朝には冷たくなっている
花をむしることも
川をせき止めることも
小鳥を冷たくすることも
君の名前を忘れていくことも
僕には止められない
誰にも止められない
世界に止められない
命を止めない限り止まらない
ふたりは握っている
心細さのあまりにお互いを握りしめる
そうしたせいでどちらも息絶える
だから明日にはまた別の誰かが心細い
蹴り上げられても元どおり
消えても生まれる
覗き込んでは真似ばかり
僕たちがあこがれる水たまりのむこう