No.555

むずかしい言葉
核心を突かないため
芝生にスカートがひろがる
靴底はフレアに隠している

見えない鎖があって
見えない壁があって
見えない棘があって
それでふたりは近づけないの

紫の猫が笑う
見えない棘も
見えない壁も
見えない鎖も

なんにも見えないんだ
なぜってどこにもないからだ
でも信じたいふたりがいるんだ
それで存在を許されるんだ

見えないくらいで
疑うこともない
見えないくらいで
嘘になることもない

贅沢な遊びだ
死ぬまでの時間つぶしだ
綺麗な装丁には収めてやらない
死ぬまで鏡と向き合っていろ