no.83

まだ愛着に満たない
机上のスピカ
止まないでいいのはただ
殻を叩く音だけ

きれいないちばん
いじらしい籠城にて散る食べかす
色彩は頬に宿る
花をのせるにこそ相応しい頬に

記憶の渦にのみこまれたところで
めまいしているのはもったいないな
乾ききるまで見開いてみつめてみて
見あたらないものをさがしてみて

懐かしい、
年老いたあなたがそう呟くまで
たとえ呟かないのだとしても
ぼくはずっとここにあったよ