No.549

あ、ここまでだ。
過去に体験したわけじゃない
誰かに聞いたわけでも
ましてや標識があるわけじゃない

行きどまりだ。
って、そうわかるんだ
分かる、ってことは願望だ
ぼくたち、ここを行きどまりにしたい

見据える強さが欠けていた
でも誰も責めらんないでしょ
って反論する強さだけあって
つまりとても幼かった

幼さは無知で罪でかけがえがない
土台となって形成を支える
積み重ねる全てがこれへ捧げられる
ぼくたちに眠りは要らなかった

それでいつもハイテンションだった
まどろみは克服すべき仇だった
おとな、連れて行くつもりなんだろう
秩序があって平穏で退屈な日常へ

それでぼくたち逃げ出したんだ
夜が明けたら太陽の影へ
赤と青の実が惑わす深い森へ
時には野良猫の中へだって

何者かわからないでいたい
お互いに名前なんてなかった
どうせお互いしかいないんだから
景色に馴染むほどやわでないんだ

(そう、信じていたかったな。)

誰かに首を絞められる感触で気がつく
苦しくないのはきっととっくに死後だから
裏切ったのはどちらか?興味はない
多少の強がりであることは認める

なかなか思い通りになれなくてごめん
名前なんてつけようとしてごめん
あなたの選択の結末を見届けられない
それだけが唯一の心残りかな。