夜は醜悪を匿う。そのせいで浮き彫りにもする。見えない何かを。見えない基準で。小さかったころになりたかったもの。目指しもせず夢のまま抱き続けた夢のまた夢。手繰り寄せた朝陽に絡みついてそのまま毛布に溶けてきた意地悪。星を。拒んだひとから真っ先に星になっていった。意識しなけりゃ嘘ひとつつけないのって。無頓着がよかったみたいに。名前を明かしもしない神様にいつまでも焦がれて、崇められたい罪悪をいつまでも受け入れられないで。お気に入りの秘密をこっそり封じた蕾が、誰も産まれない夜に花開けばいいのに。何も救わなかった僕の正義が、君にだけはいつかちゃんと優しければいいのに。