あなたが憎くて
おまえさえいなければ薔薇色だったと
呪って歪んで虐げて
それこそを諸悪の根源とみなし
金輪際あらわれてくれるなと
心底思いながらそれでも
それでも殺さなかったものが
いつかあなたを救うだろう
強い眼差しの残像で
優しさを含まない裏返しで
罵りながら嗚咽していたこと
知っていたのは
知っているのは
後にも先にもそれだけだから
花の名前を教えるといい
それはいつかあなたのもとを去るが
花は毎年朽ちるだろう
そして次にはまた咲くだろう
軽率に振る舞える贅沢を
邪険に扱える幸福を
僕たちは繰り返し確かめている
涎にまみれて反芻している
どんな不条理だっていい
忘れないように
消えないように痕跡となるなら
遠ざかる笑い声
君を
君と僕を蹴って不自由にした
あれも今は善を囁く
無垢な瞳にそれは吸い込まれる
あたかも真理として
あたかも絶対として
あたかも愛情として
あたかも崇高として
苦痛や絶望と引き換えに
黒い目は諸々を飲み込んでゆく
新しい土地へ旅立つために
古く新しい季節を回すために
誰がいなくても
誰がきかなくても
見えも触れもできなくたって
僕が空に歌っている
この足で立って
この肺で吸って
この鼓動に合わせて
六本指の軽快な手拍子
君は僕を本当に好きだね。