No.531

『似た者同士』

忘れたふりをしたんだ
思い出すのがもったいなくて
はじめてみたいに会ったんだ

(すこし、怖くて。)

だけど君の目は僕を見る
あの日のように黒い瞳で
僕の記憶力に期待するだろう

変わったんだ
変わってしまったんだ
生きるために、死なないために

君に会うために。
君に会うために。
君に、また、会うために。

ふがいない、みじめで、
はずかしい、むりょくで
ちっぽけで、死んでしまいたい

全部をぶちまけて楽になる
渋々顔を上げると君が泣いている
これは、正直、予想外

待ってたんだ、
ショートケーキの苺とおんなじ、
好きなものを取っときたい性格のせいで、
私は今まで多くを無くしてきたんだ。

白状する君の声が震えている
触れたこともない頬が熱い
肩が上下している
もしや、これは。

泣いてる。

バカだな
弱っちいな
ただの強がりだったんだ
僕たちってどうしようもなく似た者同士

おんなじ僕たちはいつか笑える
くだらないなっていつか共有できる
その時に届くまで泣いていてもいいよ
互いの泣き顔に飽きたら笑いだって出るだろう