no.75

誰も相手にしないで
雪の絵を描いている
真っ黒な瞳で
ひとりできみは

新しいまま放置された車両の中
忌避する言葉を選んで
海にむかって放って
何度も何度も放って

どんなに関係がなくても
関係性を付与されること
その不幸から逃れるために
限りある時間を損なわないこと

そんなことかもしれない
ぼくが約束しなければならないのは
雪の絵を前に
投影を続けたきみの夢の手前で

引きずり出される夜明け
意味を与えるための
押し付けの希望
ありがとうと笑って生きる

ぼくの描いた世界で
きみは息をひそめて
きみの描いた世界で
ぼくはきみを描いている

十年
百年
一千年

永遠を求めるなら
永遠を望むなら
それは蓄積の結果でないと
分かってしまったほうがいい

それは刻まれた一瞬の中に
それは頼りなく舞い降りた雪の欠片に
それは海底を揺蕩うひとつの粒子に
それは明日に破られる絵の中に宿った

きみもぼくも間違っている
正しく謙虚に間違っている
清く美しく未来のために間違っている
たった今誰かの罵詈雑言のために間違っている

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