掌に包んだもの
指の腹で撫でた記憶
どんな
どんな形でもいいから
壊したいと思う
僕だけのせいで
それが壊れたらいいと思う
一瞬にして永遠に
名づけられる間もなく
認められる隙もなく
眼差しと眼差しの溝で
予感の組織に落ちぶれて
輝かないように
息を潜めておいて
見つからないように
生き延びておいて
あとすこし
ほんのすこし
それで
それから
真犯人にして
僕だけを
たったひとりの
最初で最後の
優しい優しい三面記事
忘れ去られる幸福への淡い期待
儀式と呼んだら騙されるかな
人間はいつもかたまっていて可愛いね