No.526

『プールサイド・スーサイド』

きみを見てる意識じゃなかった
世界だった
閉じた学校のプールだった
目を瞑っても季節がわかる夏の

髪を、切ったんだ
手首はやめたんだ
顔色をうかがうのも
その傷、天使みたいだね

傷つけるかな
だけどそう思った
思ったんだよ
ぼくは幸せとその逆を同時に願う

器用なのか意地悪なのか
それともただの錯乱
独りよがり
いつか気づくんだろうな

気づいちゃうんだろうな
きみはいい子
出会っちゃうんだろうな
それをきみに教えてくれる子に

きみを見てる意識はなかった
だから嘘をつかれたと思った
「見過ぎ、さっきから」。
手で覆った口が初めて笑っていた