No.527

『箱庭失格』

選べたらいいのに
自分が好きになる人くらい
ぬるいペットボトル押し付けて
このまま寝てはいられない夢を見た

美しくても失敗だった
やり方が分からないんだ
あなたさえ好きにできないなら
誰に訊ねたって仕方がないな

コントロールできないコクピットから
すれ違う顔ぶれに意味のない目配せをしてる
花束がやけにほつれやすいよ
ひとりの物になりたくないんだって

ぱらぱら、海へ落ちる人が増えてきて
自分のほうが落ちてる気分になる
空はさかさまで底なしにまぶしい
あなた、人間だ、癒えない傷がある限り

ぼくとは違う
怖いはずだ
それなのに怯えてない
なぜだ?おしえて

指を伸ばす、そのことに感動をする
ゆびを、のばす、だって?
こんなにも求めてやまない物が
今までぼくの箱庭にあっただろうか

たまにはいい
何したって死ぬことはないから
たまには落ちてみることもいい
傷くらいつけてみてもいい