【小説】そして明日も

まぶたがひらく。どうか、あなたの目に初めて映るぼくが、嫌悪されませんよう。人はだんだん欲張りになる。少なくともぼくは、あなたに対し、そうなっていく。明日は指先が少しでも動きますよう。唇がぼくの名前を呼びますよう。起き上がり、光景を視野に入れ、認識し、つたなくも笑いますよう。ちぐはぐでも良い、文法の乱れた言葉を発し、空腹を訴え、無意味に唇を舐め、食べたいものが分かりますよう。でたらめな歌を歌い、やがて退屈になり、疲れたなら午睡し、日が陰る頃に目を覚ます。毎日予想外のことが起きて欲しい。ぼくが思いつかなかったあなたでいて欲しい。そんな日は来るだろうか。そんな日だって来るだろう。来るんだとしても、まだ先になりそう。でもぼくは決して希望を捨てたりしないのだ。なぜか?それが、ニンゲンだから。ああ、また、ミス。もう何体目か分からない。惜しかった。ざんねんだ。修正不能のあなたを消去する。重ねた思い出の上で眠りにつく。この記憶はゆうに致死量を超えている。

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