no.69

満ちたとき
愛だって繰り返さなかったとき
平和だったとき
平和って言わなかったとき
ほんとうに幸せだったとき
まだ知らなかったとき
幸せという言葉が
浮かびもしなかったとき
危機は反芻が暗示する
不安にならないとき
おまえすこし頭おかしいねって
きみが笑ってぼくから興味を失うとき
金平糖じゃないから噛み砕くことはできない
いま少し愛と平和で幸せだとする
生まれなかったときに比べて
死ななかったときに比べて
ほんの少しは、幸せだったとする