No.502

なぜぼくを起こしたの
せっかく死んでいたのに

とでも言いたげな寝ぼけ眼
もう一度埋めてしまおうかと思う

それは白くつめたくやわらかで
毎晩すこしずつかじりたくなる手

泣かないでフロイライン、
私としたことを覚えているの?

いいえちがうのマドモアゼル、
あなたを何も思い出せないの。

呼び名だって記憶どおりかわからないの、
間違ったら消えてしまうんじゃないか?

だから呼べないのフロイライン、
ぼくをゆるしてマドモアゼル。