No.501

誰の思い出にも残りたくなくて
なってはいけない人を好きになる
仕掛けはいつも小手先で
張り巡らせた罠で動けないのは僕だった

謙遜しなければ水中を泳ぐみたいに
縦横無尽に生きられたのでは
呼吸ひとつ満足にできない朝
背中から根が生えて起き上がれない

次に耳が聴こえなくなった
正直言うと好都合だと思った
もうイヤフォンで塞がなくてもいい
朝も夜もやかまし過ぎたんだ

次の日からひとつずつ消えてった
眼球だけが潤いを保ったまま
部屋の真ん中にぽつねんと残った
そして最後はハニーの餌食になった

平等とは不平等なもの
公平とは不公平なもの
自由とは束縛の異名で
無限とはこの部屋にあるもの

夢を見ていて
忘れないうちにと書き留める
ようやく書き上げた時には
好きな人の名前が思い出せない

みんなひとりでに生きて死ぬんだ
今はひとつひとつで夕焼けを見ている
優しくしたくなるような背中で
つぶしてしまいたくなるような魂で