no.68

いつか忘れてしまう時間のなかに今いるということをいつも忘れそうになる。いつも。不完全に黒く塗りつぶされた紙に画鋲で穴をあけて太陽にかざす。顔の上に星座ができるけど自分で見ることはできない。できないことは、わからないこと。例えばそれが正しいのかどうかも。近くのものから目を逸らしたい時に人はできるだけ遠くの世界を語った。博識の視線はだからさみしいのだ。僕が憧れてもなれなかったひとは、てのひらに泉を持ってた。新しい水が今でもそこから惜しげなく溢れていることを、透明な檻から祈っているよ。それを守るために何も掴めないでいることを、あの日も今も。また出会ういつかまで。祈っている。

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