No.497

そんなんじゃ生きていけない。
笑う、好きだ、
嘘ばっかり。あれもこれも、
どうせぜんぶ嘘にするつもりでしょう。

だまされない、ぼくはだまされない。
でも、振りはできるんだ。
そんなに守りたいなら。
だまされてやっても、いい。

地上で爆ぜる白い雪、
微睡みにくゆらせて上澄みをすくう。
痛くないよ、守るためにもらった傷だ。
生まれ変わっても傷だらけだ。

ようやくふと思い出した。
あなたの背中につかまって夜を泳いだ。
沖へ行くの、砂浜はどこなの。
どちらへ行ってもなんにもないよ。

それはなんて偶然、
それはなんて僥倖、
それはなんて最愛、
それは、なんて、えそらごと。

絡まった糸は飲み込め。
おまえを釣り上げる馬鹿者はいない。
もう人間になどなるな。
わたしの忠告を悪く思うな。