No.494

下手だね、優しいふりとか
どうして僕じゃないんだろう
あなたそう思ってる
君を泣かせるものが僕じゃ、

もうないんだって、ストローをくぐる
虹は誰にも発見されず
消えて行く、私以上に
弱いものはなくて仕方がなくて

雲より大きな金魚だよ
私ガラスに生えた苔なの
青空は澄み切った水槽
境目がわからなくなるんだ

あなたに後悔してほしい
どうして見当たらないんだ
タイムマシン、一夏だけでいいのに
その思いを抱えたままいくつも超えてほしい

白状する、私、金魚を欲しかったんじゃないんだ
あなたが命を蔑ろにするところを
見たかったんだ、厄介払いのためだけに
ずっと完璧だったあなたがボロを出すところを

封印した秘密が匂い立つ
誰もこの部屋を外から開けられない
怖くて、今は失うものが多過ぎて
だけど生きていく、この傷は治さない。

あなたが見たかった星空を
この湖に映して金魚は飲み飲む
街を、電柱を、夜を、ちいさな藻を。
夢を、傷痕を、恋を、ほのかな光を。